タックスヘイブン対策税制と国外転出時課税制度

タックスヘイブン対策税制

さて、タックスヘイブンとは「租税回避地」のことで、他国に比べ大幅に税率の低い国や地域のことを指します。法人税などの税率が低い国に、実体のないペーパーカンパニーを設立し、所得や資産を移すことにより、納税額を減らすことを目的に利用されています。

主要国は、このような課税逃れを防ぐための法律を作っており、一般的にこれを「タックスヘイブン対策税制」と呼んでいます。日本では、1978年に導入されました。具体的には、日本人及び日本法人が、法人税率20%未満の国に、実体のないペーパーカンパニーを作り、この会社が利益を挙げた場合、仮に配当などを日本で受け取らなかった場合でも、その利益に対して、日本で課税するというものです。

以前は、25%がボーダーラインでしたが、近年、世界的な法人税率の引き下げ競争が起こっており、先進国が「タックスヘイブン」に該当してしまうケースなどを受け、20%に引き下げられた経緯があります。

現在、OECD加盟国やG20において、同税制を導入しているのは、米国、英国、ドイツなどの欧米先進国、そしてアジアでは日本、中国、韓国など、いまだ一部の国に留まっています。そこで、今年の11月を目途に、上記の主要40カ国が、全面導入を目指して、現在調整を進めているところです。

特に最近、アップルやスターバックスなどのグローバル企業が、様々な国の税制の違いを巧みに利用し、「租税回避」を行っていることから、欧米各国の強い働きかけがあったものと思われます。

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とはいえ、OECDなどに加盟していないシンガポールなどは、“低税率を売り物”にしていることもあり、世界的に足並みがそろうかは不透明な状況です。その他、従来からあるタックスヘイブンも、主たる産業が無い国や地域が多いため、完全に穴をふさぐことは難しいと思われます。

いずれにしても、税金を巡っての国と納税義務者との“イタチごっこ”は、終わることはありません。

国外転出時課税制度(出国税)

さて、上記のように、世界的な課税強化策が進む中、富裕層の中には、株式などの売買益が非課税な国へ移住をする人たちが増加傾向にあります。日本の富裕層も、例外ではありません。そのような動きを察知してか、日本政府は、「租税回避」の対策強化として、「国外転出時課税制度」を2015年7月1日から導入しました。

その内容は、「1億円を超える金融資産を持つ富裕層が、海外に移住する場合」→「株式などの含み益に対して所得税を課税する」といったいわゆる“出国税”となっています。最近、日本においても、多額な含み益のある金融資産を保有する富裕層の人たちが、金融資産の売却時に課税されないシンガポールや香港へ移住するケースが、増えていました。同制度では、それらの「節税(租税回避行為)」を防ぐために、出国時に日本国内で、所得税を課税するというものです。

同様の制度は、フランスやドイツ、カナダなどの先進国では、すでに導入されています。日本も“資産格差”が拡大する中、海外の制度を参考に、特に多額な金融資産を保有する富裕層に対して、課税強化を行っていく方針のようです。

いずれにしても、今後ますます国際化が進展する中、企業はもちろんですが、個人所得や資産に対しての課税強化は、進むものと思われます。特に「税金問題」は、各国の財政運営に大きな影響があるため、先進国をはじめとする「租税回避」への締め付けは、ますます強くなっていくことでしょう。

今後の「グローバル税制」の動向にも、注視が必要と言えます。